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何時の間にか伐採場にいた。
放棄されたプレハブ小屋や壊れた重機がそのままになっている。
強烈なフラッシュバックで時間の感覚と記憶がゴチャゴチャになっていて、
いつここへ来たのか思い出せない。
自分の乗ってきた車を不思議な気分で眺めていると、別の車がやってきた。
クーの前で止まり、ウィンドウが少しだけ下がる。
ξ ゚⊿゚)ξ「ちょっといいですか?」
川 ゚ -゚)
ξ ゚⊿゚)ξ「ここは我が社の私有地で立ち入り禁止なんですよ。すぐに出て下さい」
警戒心ありありの態度だが、クーはピンと来た。
この女がホームレスの言っていた“俺の仲間”だろう。
川 ゚ -゚)「あんたに渡せって言われたものがあるんだ。ホームレスのおっさんに」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
パソコンを取り出す。
車の女はウィンドウをもう少しだけ下げてそれを受け取ると、起動して中身を
確かめた。
表情が変わる。
ξ ゚⊿゚)ξ「これの持ち主は?」
川 ゚ -゚)「……死んだ」
深く溜め息をつき、手で口元を押さえて軽く首を振る。
ξ ´⊿`)ξ「ああ……何てことかしら」
川 ゚ -゚)「わたしはどうすればいい?」
ξ ゚⊿゚)ξ「え? ええ、とにかく乗って下さい」
女がロックを開けたので、クーは助手席に乗り込んだ。
彼女がわずかに顔をしかめる。
川 ゚ -゚)「臭くて悪いね。ずっと汚いとこにいたから」
ξ ゚⊿゚)ξ「いいえ。それであなたは?」
クーは短く自分のことを説明した。
ξ ゚⊿゚)ξ「ゲームのプレイヤーというわけですね」
川 ゚ -゚)「そうなるかな。あんたたちは?」
ξ ゚⊿゚)ξ「詳しいことは言えません。“ゲーム”への反逆者としか」
川 ゚ -゚)「そうか」
ξ ゚⊿゚)ξ「あなたはどうしたいんですか、これから」
川 ゚ -゚)「……」
何も思い浮かばなかった。
ξ ゚⊿゚)ξ「とにかくここを出ましょうか」
車は滑るように走り出し、山道を駆け抜けた。
彼方に朝日が昇り、ウォーターパークの廃墟が浮かび上がる。
ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさんは最期に何て?」
川 ゚ -゚)「?」
ξ ゚⊿゚)ξ「ホームレスですよ。遺言みたいなものは?」
川 ゚ -゚)「わたしに“罪を償いたきゃ……”」
そうだ、間違いない。
彼はこう言おうとしたんだ。
川 ゚ -゚)「“生きろ”って」
ξ ゚⊿゚)ξ「そうですか」
女は後部座席を視線で差した。
ξ ゚⊿゚)ξ「そのアタッシュケースを取ってもらえますか?」
川 ゚ -゚)「これ?」
ξ ゚⊿゚)ξ「ええ。開けて下さい」
身をよじって銀のアタッシュケースを取り、膝の上に乗せる。
蓋を開けると中には書類やパソコンが入っていた。
ξ ゚⊿゚)ξ「上のポケットから封筒を出して下さい」
川 ゚ -゚)「これは?」
ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさんに渡す筈だった報酬です。
あの人、現金しか信用しなかったから。
持って行って下さい」
川;゚ -゚)「いいの? 100万円はあるぞ」
ξ ゚⊿゚)ξ「それでも前払いを別にした金額ですよ。
あの人ならきっと怒らないでしょう」
川 ゚ -゚)「そうかな……」
ξ ゚⊿゚)ξ「そうですよ」
しばらく沈黙が落ちた。
山道を降り、車は郊外を抜ける道路に入った。
ξ ゚⊿゚)ξ「どこまで送ります?」
川 ゚ -゚)「そうだな」
クーは自分のお腹に手を置いた。
眼を閉じてかつてそこにいた、かけがえのない存在に話しかける。
川 - )(ごめんね。ごめんね……わたし、それでも生きていくよ)
ξ ゚⊿゚)ξ「?」
それから瞼を持ち上げ、彼女に笑いかけた。
川 ゚ ー゚)「どこか遠くまで」
ξ ゚⊿゚)ξ「はい」
おしまい
[エンディングB]
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