忍者ブログ
ゲームブック公開中!
[59]  [58]  [57]  [56]  [55]  [54]  [53]  [52]  [51]  [50]  [49
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

麓の駅までやってくると、クーはそこで降ろされた。

ホームレスはツンのカバンを勝手に開けた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ちょっと、ちょっと!!」

('A`)「工作費用があるだろ。これか」


封筒に入った札束を取り出し、クーに押し付ける。


川 ゚ -゚)「えっ……こんなに? いいの?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとドクオさん!! それは……」

('A`)「カタイ事言うな。俺の命の恩人だぞ」

ξ#゚⊿゚)ξ「もう、後で金策に走り回るのはわたしなんですよ!?」


ホームレスはクーに笑って見せた。


('∀`)「ゲームクリアの報酬さ。持って行きな」

川 ゚ -゚)「何から何までありがとう」

('A`)「礼を言うのはこっちの方さ。あんたのおかげで色々助かったぜ」

ξ ゚⊿゚)ξ「すべて他言無用でお願いしますよ。

     わたしたちとは会わなかったことにして下さい。

     もしも秘密が守られなかった場合、あなたの身の安全について

     保障は……」

('A`#)「相変わらず無粋な女だなお前は!」


クーが頭を下げるとホームレスはやめてくれって感じで手を振った。


('A`)「夢あるか、お前?」

川 ゚ -゚)「え?」

('A`)「ガキの頃の夢を思い出せ。夢だけが人生を変えられる。じゃあな」

川 ゚ -゚)「……」


切符を買って駅の構内に入る。

すぐに始発が入ってきた。

ガラガラの車内に乗り込み、椅子に座る。

体がふわふわして変な感じだ。

まるで今見ているのと同じ、車窓から流れゆく光景をずっと見ていただけの

ような気がした。

すべては過ぎ去る幻のように。


川 ゚ -゚)(夢か……)


ホームレスの言葉を思い出す。


川 ゚ -゚)(夢だけが人生を変えられる)


荒んだ家庭環境で育ったクーだったが、唯一夢を持ったことがある。

かわいがっていた野良犬が車に轢かれた時のことだ。

家に連れて帰っても両親は怒鳴るばかりで、治療費を出してくれそうにない。

泣きながら血まみれの犬を抱えて近所の動物病院に行くと、そこの獣医が

幼いクーに同情し、タダで治療してくれた。

そうだ、自分はあの日からずっと獣医になりたかったんだ。

何故忘れていたんだろう?


川;゚ -゚)(でもわたしは世間的には死んだことになってるんだよな。

     それってつまり戸籍が存在しないのも同然だから……ええと……)


すぐにそのマイナスの考えを振り払う。

やっぱりこの夢だけは捨てちゃいけない気がする。

クーは自分の腹部に手を当てた。両手でそっと。


川 ; -;)(ごめんね。ごめんね……

      わたしバカだけど、それでも生きて行きたいんだ)      


電車は郊外から町に入った。

朝焼けを浴びてすべてが光って見える。

クーは窓の外のその光景に眩しげに眼を細めた。


 川 ゚ -゚)

 


あのホームレスの言葉は正しい。

夢だけが人生を変えられる。

 






おしまい

[エンディングA]



後書き→66へ


 

PR
ブログ内検索
プロフィール
HN:
完全犯罪
性別:
非公開
自己紹介:
ゲームブック公開中!
リンクフリーです
忍者ブログ [PR]