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麻薬を売ることを悪いことだと思った事はあまりない。
そこには常に「ドラッグはすべてが自己責任」というクーなりの考え方が
あったからだ。
LSDで気が狂ってビルの上から飛び降りても、覚醒剤の被害妄想で
自分の体をナイフでほじくっても、少なくともやった奴はそうなる可能性が
あることをわかっていた筈だ。
違法薬物が何故違法なのかわからないほど底なしのバカなどこの世に
いるのか?
買うのも死ぬのも連中の勝手だ。
そして買う奴がいるから自分はいつも売ってきた。
川 ゚ -゚)「……」
留置所でクーは壁にもたれ、そのことを考えていた。
あの女の子の何が悪かったのだろう。
あの日あの場所に立っていたから?
息をしていたから? 生まれてきたから?
川 ; -;)「クソ……クソ……」
体をゆすり、頭を壁にぶつける。
弁護士の話では女の子は一命を取りとめたが、右腕と右足は切断するしか
なかったという。
ちょうど車がぶつかった時、体の右側を向けていたせいで、著しく損傷して
しまったのだ。
_
( ゚∀゚)「被告はこの少女の未来を一瞬にして奪ってしまったのです。
自らが警察に捕まりたくないという身勝手な一心から!
彼女はピアニスト志望の天才児で、神童とまで呼ばれていたのに……
それが……こんなことに……
こんなひどいことがありますか!? まさに理不尽だ!」
/ ,' 3「弁護側は今の検察側について何か異議がありますか?」
( ><)「クーさんは故意に轢いたわけではないんです!
警察の無理な追跡にこそ問題が……」
クーは弁護士を遮った。
川 ゚ -゚)「一切の偽りをしないという最初の宣誓にのっとって、本音を言います。
わたしがあの子を轢いたのは故意です」
(;><)「クーさん!?」
傍聴席からどよめきが上がった。
/ ,' 3「静粛に! 今の言葉は本心からですか?」
川 ゚ -゚)「ええ」
/ ,' 3「何故故意に被害者を轢いたのですか?」
川 ゚ -゚)「本当は間に合ったんです、ブレーキを踏むにしろハンドルを切るにしろ。
だけどわたしはあの子を轢いた。
怪我を負わせればパトカーだってほっとけない、わたしの追跡を
諦めてそっちに……注意を向けるだろうと……」
/ ,' 3「つまり身代わりにしたと?」
川 ゚ -゚)「はい」
(;><)「い、依頼人は今ちょっと混乱しているんです!! 今の発言は……」
川 ゚ -゚)「死刑にして下さい。わたしはもう……こんなのは耐えられない」
クーは目を閉じた。
川 - )「消えた両親、養父の暴力、学校でのイジメ……わたしはいつだって
耐えられなかった。
そのうち世界中の全部、すべてが消えてなくなればいいと考えるように
なった。
麻薬を売ってたのも、頭のどこかでこの世界に復讐を願ってたからだ!
どいつもこいつもジャンキーになってくたばりやがれって……」
/ ,' 3「……」
_
( ゚∀゚)「異議あり! 裁判長、被告の発言はこの件とは何の関係もありません!」
川 ; -;)「だけどそれでも……それでも、あの子には何の罪もなかったのに」
/ ,' 3「判決は後日に。今日は閉廷します」
被告の麻薬売買歴は長期に渡り、前回の起訴から何ら反省は見られない。
悲惨な過去には同情するが自己改善の努力に欠けており、反社会性は
無視できない。
懲役15年、執行猶予は無しとする。
以上がクーが最後に裁判長から賜った言葉だ。