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(<●>q 。)「あー!!」
怪物は業を煮やしたのか、とうとう両手を天井に突っ込んだ。
そこから両側に引っ張って天井そのものを引き裂こうと力を込める。
ポケットティッシュの袋を開けるような動作だ。
メキメキと金属が軋む音がして、裂け目がどんどん前後に広がって行く。
川;゚ -゚)(ど、どうす……どうすれば……)
死の恐怖がクーの体の中に居座っている。
最初は喉元に詰まった粒だったそれが、今や膨れ上がって氷のレンガに
なっている。
頭の中が真っ白になりかけた時、後部座席のことを思い出した。
川;゚ -゚)(そ、そうか……畜生、これしかない!)
気の進まない決断だったが、すでに天井の裂け目は絶望的なまでに
広がっている。
クーはハンドルを放り出して後部座席に飛び込んだ。
ハーネスから手榴弾を取る。
起爆ピンはハーネスに固定されており、引っ張ると自然と取れた。
それを座席の足元に落とすと、クーはワゴンの扉を開き、意を決して身を投げた。
川;゚ -゚)「うわああああ!!」
両腕で頭を守り、アスファルトの地面を激しく転がる。
肉も骨もバラバラになりそうな苦痛に全身を揉みくちゃにされた。
(<●>q 。)「ああああ――」
ワゴン車の天井を引き千切った怪物は、裂け目から車内を見下ろした。
空っぽであることに疑問を抱く暇もなく、車の底の方で何かが炸裂する。
ズン!!
手榴弾の爆発は車のガソリンに引火して二次爆発を起こし、火山の
噴火のような爆炎が上がった。
川 ゚ -゚)
ようやく運動エネルギーを使い切って止まったクーは、倒れたまま怪物の
最期を見届けた。
バラバラに砕け散り、紅蓮の炎に巻かれるのを。
地面に落ちて潰れ、しばらく痙攣していたが、やがて動かなくなるのを。
何も感じなかった。
達成感、安堵、カタルシス。苦痛すらも感じない。
頭の中には何もなく、ただ空白だけがあった。
川 - )「う……」
不意にそこに不快な音が混ざった。
耳鳴りだ。
川 - )(まただ……また耳鳴りが……)
空白が意識を覆って行く。
クーは白濁した世界でただ一人、耳鳴りに身をゆだねていた。