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 一際大きな樹木を背にし、クーはその場に踏みとどまった。

左右を別の木に塞がれている場所で立て篭もるには悪くない場所だ。

 銃口を持ち上げ正面に構える。


川;゚ -゚)(何も見えない)


何時の間にか雲に切れ目が出来て月光が差し込んでいるが、狙い撃ちを

するにはあまりにも心許無い。

視覚に頼るのをやめて耳を澄ます。

自分の呼吸の音だけが終わることなく続いていた。


川 ゚ -゚)(どこだ……?)


 カサリと枯れ葉の音がした。


川 ゚ -゚)「!!」


そちらに銃口を向けた瞬間、銃ごと腕を誰かに引っ張られた。

喉を掴まれて背後の木に押し付けられる。


川 ゚ -゚)「ぐっ……」


自分の体に向かって何かが迫ってくるのが見えた。

咄嗟にそれを両手で掴んで抵抗する。

 どうやら自分は男に捕まっていて、その男は片手で自分を掴んだ状態で

いるようだ。

もう片方の手に持った注射器のようなものを自分の胸に突き刺そうとしている。


(:;:;:;)「落ち着け! 殺すわけじゃない、眠ってもらうだけだ」

川 ゚ -゚)「……!!」


苛立ったような声がかかった。

クーは死ぬ気で腕に力を入れたが、抗い切れずに注射針は少しずつ

こちらに近づいてくる。


(:;:;:;)「お前はゲームをクリアした。ただ別の場所に運……」


 突如、どこからか第三者の力が加わった。

自分を捕まえている男がうめき声を上げたかと思うと、注射器を持った腕が

捻り上げられる。

その誰かが注射器を取り上げ、男の喉に突き刺した。

ピストンが押し込まれ、液体が体内に注がれる。


(:;:;:;)「ガホッ!」


クーの体にかかっていた力が抜けた。

激しく痙攣しながら地面に崩れ落ちた男は、顔中の穴から血の泡を

噴き出している。


('A`)「別の場所ね。お前が先に行ってろよ」

川 ゚ -゚)「おっさん!」

('A`)「すまねえな。ちっと手間取ったぜ」


 ホームレスがゴーグルのようなものを外して顔を見せた。

スターライトスコープという、僅かな光を増幅し暗闇の中でもはっきりと

物を見ることができるようになるものだ。

 クーは全身から力が抜けるのを感じ、その場にへたり込んだ。

隣の死体の首に触れて脈を調べてみる。


川 ゚ -゚)「死んでる……」

('A`)「本当ならお前がこうなる運命だったんだぞ。クリアしようがしまいがな」

川 ゚ -゚)「嘘だったのか、みんな」

('A`)「まあ、どっちにしろムショから出れただろ」


 何だか気が抜けてしまって、上手く物事を考えることが出来ない。

クーは呆然と頷いた。


川 ゚ -゚)「あいつらみんなやっつけたの?」

('A`)「まさか。閃光弾でちょいとね。ほら、立てよ」

川 ゚ -゚)「うん」

('A`)「銃と着てるもんはここで全部捨てろ。何がついてるかわかんねえし」

川 ゚ -゚)「え?」

('A`)「いくらスコープつけてたってこんな暗闇で追って来れるかよ。

   どっかに発信機があるんだと思う」

川;゚ -゚)「は、裸で行けって言うの?!」

('A`)「そいつの貰えよ。文句言わねえだろうし」


ホームレスが周囲を警戒している間、クーは死体の服を脱がせ、それに

着替えた。

ついでに死体の懐にあった拳銃も頂いておく。

 二人は森の中を急ぎ足で歩き始めた。


川 ゚ -゚)「どこへ向かってるんだ?」

('A`)「仲間と落ち合う場所に向かってる。もうすぐだ」

川 ゚ -゚)「何でわかるんだよ?」

('A`)「ほれ」


ホームレスは手にしていたGPSを見せた。


川 ゚ -゚)「……」


 再び疑問が渦巻く。

この男は一体何者なんだ?

今見せたGPSや拳銃、そしてあの身のこなし。

まさか本当にホームレスというわけではあるまい。

いや、そもそもこのゲームの意図はなんなんだ?

 


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