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クーは乗用車に飛び付いた。
トランクの蓋にはバッテリー電源のライトが付いていて、暗闇でも何が
入っているのか見える。
中にはボストンバッグが一つ放り込んであった。
川;゚ -゚)(この中か!?)
もどかしげにジッパーを下げる。
中にはマシンガンと拳銃、その弾丸を詰めた弾層、手榴弾などが
詰め込んである。
それらを掻き分けて行くと、一番下に筒状のものが入っていた。
川 ゚ -゚)「?」
長さ50センチほどの物体で、拳銃に似ているが銃口がクーの拳を
突っ込めるくらい大きい。
服役していた頃、囚人仲間から賭けで巻き上げた漫画で見たことがある。
川 ゚ -゚)(ちょっと形が違うけど、確か『パイナップル・アーミー』で見たぞ。
グレネードランチャーとか言う……これか!)
幸い安全装置も拳銃とだいたい同じだ。
しかし中を覗いて見ると肝心のグレネード(手榴弾)が装填されていない。
慌ててバッグを漁る。
野球のボールくらいの大きさの物体がいくつか出てきた。
それをランチャーの銃口に突っ込もうとするが、入らない。
川;゚ -゚)(畜生、どうやるんだよこれ!?)
無理矢理突っ込もうとしてもどうしても上手く行かない。
そうしているうちにパークの入り口に怪物が姿を現した。
(<●>q 。)「ああああああ――――!!!」
こっちに向かって走ってくる。
ここに辿り着くのに20秒もかからないだろう。
川;゚ -゚)「畜生!!」
足腰が震え、そこから始った焦燥が体を焼きながら這い上がってくる。
いじり回しているうちに指が撃鉄のような部分に引っかかった。
カチッという音がしてランチャーの砲身が半分に折れる。
中折れ式になっていて、砲身の尻から詰め込む方式になっているらしい。
川;゚ -゚)(後はこれを……)
グレネードを押し込み、砲身を元に戻す。
またカチッという音がして金具によって固定された。
親指で安全装置を跳ね上げると、クーは振り返りざまに引き金を引いた。
川 ゚ -゚)「うわあああああ!!」
ガス圧による発射の「シュポン」という独特の砲声。
怪物は空中に跳ねていた。
クーに空から飛びかかろうとしていたところで、放たれたグレネードと鉢合せする。
(<●>q 。)
巨大な眼球の中にグレネードが映り込んだ。
顔面に向かってどんどん近付いて来る。
そのまま淀んだ暗い瞳に吸い込まれようかという時、グレネードの内部に
スパークがほとばしった。
雷管が火薬を叩き起こし、爆風によって内蔵した何百個もの鉄球が周囲に
飛び散る。
ズン。
川;゚ -゚)「ひっ」
思わず両手で頭を抱えながら、クーはその場から飛び退いた。
……というよりは、頭から地面に身を投げた。
轟音が臓腑を震わせる。
怪物が降ってきた。さっきまで怪物の一部だった大量の肉片と一緒に。
(<●>q 。)「あぐっ」
怪物の落ちた車は重量に耐えきれず、激しく軋んで紙箱のように潰れた。
川 ゚ -゚)
(<○>q 。)「あ゛……あああ……」
体の半分をミンチにされてなお怪物は生きていた。
ビクビクと痙攣しながらか細い声を上げ、千切れた片手を弱々しく振り回している。
クーは立ち上がってそっと車に近寄り、怪物が落ちたショックでトランクから
こぼれ落ちたグレネードを拾い上げた。
それをランチャーに装填する。
今度はゆっくりと、慎重に。
川 ゚ -゚)(こいつも元は人間だったのかな……)
一瞬だけ、哀れみに似た感情が胸に浮かんだ。
しかし自分にこいつから苦痛を取り去ってやる以外の何が出来るだろう。
十分に距離を取ってから慎重に狙いをつけ、クーは引き金を引いた。
(<○>q 。)
再び爆発。
車のガソリンに引火して二次爆発を起こし、怪物は元の形がわからないくらい
バラバラになった。
残った部分も炎に巻かれて燃え尽きてゆく。
川 ゚ -゚)「……」
手の中からランチャーが落ちた。
隣のワゴン車にもたれかかり、眼を閉じてずるずると地面へ滑り込んでゆく。
もう立っていることが出来なかった。
川 - )(まただ。また耳鳴りがする……)
さっきまで強いられていたすさまじい緊張が途切れたからだろうか?
頭の中は真っ白だった。
その空白のキャンバスの中にただ、耳鳴りがしている。
果てしなく、いつまでも、終わることなく。
川 - )「……」