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不安げに明滅する明かりを頼りに、クーは近くにあった建物の影に近づいた。
軽食やドリンクを売る屋外喫茶店で、破れたビーチパラソル付きのテーブルが
並んでいる。
奥にはプレハブの小屋があり、カウンターの向こうに薄汚れたシンクや冷蔵庫が
見えた。
川 ゚ -゚)(身を守れるものが何かあるといいんだけど……)
出入り口のドアに近づいてふと、異変に気づく。
鍵がかかっていない。
爪先に何かが触れて身を屈めると、床に壊れた南京錠が落ちていた。
川 ゚ -゚)「?」
半開きのドアは風に揺れ、きいきいと悲鳴に似た不快な音を立てている。
まるでつい最近、誰かがこのドアをくぐったような感じがした。
くぐったというよりは、ぶち破ったと言うべきか。
不安が心臓の鼓動をいたずらに早くした。
息を潜め、そっとドアを開けて中を覗き込む。
川 ゚ -゚)(うわっ……何だ?)
腐臭がした。
周囲に満ちる年季の入った饐えた臭いではなく、比較的まだ新しい臭気だ。
思わず手で口と鼻を覆いながら一歩、中へ。
川 ゚ -゚)「!!」
女が一人、血の海の中でうつ伏せに倒れていた。
病院で着るような患衣をまとった姿で、手足が異様に痩せ細っている。
猛烈な勢いで込み上げてくる恐怖と嫌悪感に直視できず、クーは顔を
背けながら、横目で彼女の傷を調べた。
背中から何かの刃物の切っ先が飛び出している。
川 ゚ -゚)(殺されたのか……? 何だ、この格好?)
クーはありったけの勇気を絞って死体の近くに身を屈め、その体を
ひっくり返してみた。
うつろな眼をした彼女は腹に深々と突き刺さった包丁の柄を、両手で
握り込んでいる。
まるで自分で突き刺したみたいだ。
割腹自殺の例は何かの本で読んだことがあるが、自分の体を貫通するほど
力を込められるものだろうか?
川 ゚ -゚)(ん? もう一本刺さってる)
胴体にはもう一つ、比較的浅くもう一本の包丁が突き刺さっている。
小振りで、果物ナイフのようだ。
川;゚ -゚)「びびるな。生き返ったりしない……びびるな……」
果物ナイフの柄を恐る恐る握る。
引き抜こうとしたとき、女と眼が合った。
クーは顔をしかめて作業に戻ろうとしたが、一瞬、女のその目がまばたきを
したように感じた。
(゚q 。川「う ううあ」
恐ろしく冷たい手が、クーのシャツの袖を掴んだ。
川;゚ o゚)「う、うわあああ!?!?」
ぎょっとして飛び退くが、女の手を振り解けない。
節くれだっているにも関わらず恐ろしい力で指が食い込んでいる。
クーは死に物狂いで暴れた。
川;゚ -゚)「やめろ! 離せ、畜生!」
(゚q 。川「あ゛あ゛あ゛あ゛」
女の胴から抜けかかっていたナイフが床に落ち、かちゃりと冷たい音を立てた。
同時にクーのシャツの女が掴んでいた部分が破れて取れる。
川;゚ -゚)「うわっ!!」
反動で引っくり返ったところに女が圧しかかってくる。
クーは横転してそれをかわし、ナイフを拾い上げた。
川 ゚ -゚)「く、来るな!」
(゚q 。川「う゛ー」
ナイフを胸の前で構えるが、女は少しも怯む様子がない。
そもそも胴体に穴が開いても平気な相手にナイフが効くか?
川;゚ -゚)(逃げた方がいいな)
再度飛びかかってくる女の脇をすり抜け、クーは小屋を飛び出した。
女は腹の穴から赤黒い血を滴らせながら、のたのたと追って来る。
*ナイフ入手