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('A`)「おいおい、大丈夫かよ姉ちゃん? いきなりぶっ倒れたりして……」


 ホームレスが彼女を立たせようと手を貸す。

クーはその手を払い退けた。


川 ゚ -゚)「大丈夫。立ちくらみがしただけ」

('A`)「顔、真っ青だぜ」

川#゚ -゚)「大丈夫だって! ほっといてよ」

('A`)「そうかい」


煩わしげに拒絶の反応を取ると彼は肩を竦めた。


('A`)「気難しい奴だな。ところで、あれだぜ」

川 ゚ -゚)「ん」


 出入り口へと続く通路があるが網状のシャッターが下りている。

奥はT字路になっていて、それぞれ男子用と女子用の更衣室へ伸びていた。

周囲にモンスターがいないことを確認してプールから這い上がり、調べる。


川 ゚ -゚)「鍵がかかってる……」

('A`)「前まではなかったぜ、こんなの」


 シャッターの下の部分が床に打ち込まれた杭とチェーンで繋がっている。

杭はゲームの主催者側が後から打ち込んだものらしい。

チェーンには錠前が二つかかっていた。


('A`)「ここで鍵だな。頼むぜ」

川 ゚ -゚)「うん」

('A`;)「やれやれ、ようやくこのクソゲーとお別れか!」


鍵を差し込んで回転させる。

二つとも錠前を外してシャッターを押し上げると、二人は中へ入った。

女子更衣室の方を抜けて先に進む。


川 ゚ -゚)(何とか生き残れたけど、これからどうしよう。

     どこに行けばいいんだ……何をすればいい……?)


 頼れるような人はいないし、そもそも無一文だ。

だんだん足が重くなってくる。

希望……

外に出たら、それがあるような気がしていたけど……

 モギリの改札を乗り越え、ロビーまで行くと、突然後ろを歩いていたホームレスが

警戒の声を発した。


('A`)「待て!」

川 ゚ -゚)「え?」


振り返ると、彼は血相を変えてあたりを睨んでいる。

クーが思わずベルトから銃を抜くと、ホームレスは片手を上げて制した。


('A`)「それはまだ使うな」

川 ゚ -゚)「何なの?」

('A`)「わからん。だが何かいる」

川 ゚ -゚)「何もいな……」

('A`;)「伏せろ!!」


 彼女の頭を掴み、彼は自分の体こと地面へ倒れ込んだ。

寸でのところでピュンピュンと空気を何かが切り裂く音がする。

いち早く立ち上がったホームレスは身を低くしたままクーを引きずり、

自動販売機の影に隠れた。


('A`#)「クソッタレが、ずいぶんな挨拶じゃねえか」


彼が懐から抜いたものにクーは眼を剥いた。

種類こそ違うものの、自分と同じサイレンサー付きの銃だ。


川;゚ -゚)「おい!?」

('A`)「こういう時はお約束のセリフがあるだろ?」

川 ゚ -゚)「え?」


 身を隠したまま銃を持つ手を物陰から突き出し、撃ちまくる。

かすかな銃声と銃弾が何かを穿つカカカッという音。

その威嚇射撃に闇の中で動きがあった。

淀んだ空気に流れが生じ、数人の人影が蠢くのが見えた。


('A`)「説明は後だ、ってヤツさ。お前は撃つな」

川 ゚ -゚)「で、でも……」


 再び向こうからの銃撃。

自動販売機のスチールのボディに弾丸が当たって火花が弾けた。


川;゚ -゚)「うわっ!?」


悲鳴を上げて頭を両腕で抱えるクーに、ホームレスはチケット売り場の入り口に

顎をしゃくった。

事務室を兼ねている部屋で、ロビーに面した壁がガラス張りになっている。

その更に奥にドアがあった。


('A`)「あっこから外に出れる、お前は行け」

川 ゚ -゚)「あんたはどうするんだよ?!」

('A`)「ここで連中を引き付ける。ほら、行けって! 世話焼かすんじゃねえよ」

 

 

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