[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
強化ガラスのはめられた窓の外では、青々とした空がどこまでも広がっている。
クーはそれを見ていた。パイプ椅子に座って。
('、`*川「……さ……ん、クー……さん!」
川 ゚ -゚)「?」
我に返って視線を正面に戻す。
スーツ姿の女性がいた。
折り畳みテーブルの上に色々な書類を拡げている。
('、`*川「聞いているんですか? 大切なお話なんですよ」
川 ゚ -゚)「え、ええ……ちょっと白昼夢を見ていたみたいで」
女は「またか」ってうんざりした顔をした。
('、`*川「……もう一度最初から話しますよ、いいですか?
あなたの刑期は十五年でしたね。残り十二年です」
川 ゚ -゚)「そうですか。もうそんなに……」
('、`*川「仮釈放の方は絶望的だと前にお話しましたね。
違法薬物の乱用及び売買は長期に渡り、更生を望むのは難しいと。
覚醒剤、コカイン、マリファナ。
ここまではいいですか?」
川 ゚ -゚)「LSDもです」
('、`*川「……」
まるで他人事のように感じられた。
何故目の前の女性がそんなに真剣なのかわからないくらいに。
ふと、彼女のことについて思い出した。
川 ゚ -゚)「えと……あなたは仮釈放委員会の審査員ですよね」
('、`*川「そうですが?」
川 ゚ -゚)「確か刑期の三分の一を務めなければ仮釈は認められないとか何とか。
そもそもわたしの場合はそれも絶望的らしいし、一体何の用で……?」
('、`*川「そのことを今からお話します」
女はクーの背後にちらりと視線をやった。
部屋の出入り口で見張っていた看守が頷き、そこを出てゆく。
ドアが閉ざされるのを確認してから女は話し始めた。
('、`*川「いいですか、これは口外無用にお願いしますよ。
秘密が守られなかった場合、双方にとって非常に不幸な事になります」
川 ゚ -゚)「はい」
('、`*川「ある機関から超法的な取引を持ちかけられています。
あなたにとある実験に被験者として参加してもらえれば、残りの刑期を
大幅に短縮できると」
川 ゚ -゚)「???」
('、`*川「本来ならこういった取引は死刑囚・終身刑囚に限られるのですが。
向こうはあなたのように若く、行動的な方を探しているようなのです」
川 ゚ -゚)「実験って何をやるんですか? 薬を飲むとかそういう?」
('、`*川「わたしはそこまで知らされていません。質問は無駄です。
あなたに聞きたいのは参加するか否かのみです」
川 ゚ -゚)「短縮ってどのくらい?」
('、`*川「チャラです」
川;゚ -゚)「……つまり、実験に参加するなら釈放?」
('、`*川「そうなります」
罠だ、と心の中で誰かが囁いた。
これは間違いなく何かの罠だ。
川 ゚ -゚)「もし断ったら?」
('、`*川「いいですか、あなたは死んだことになるんです。
消灯後あなたは布団の中で隠しておいた薬を飲む。
溜め込んで隠しておいた処方薬です。
それは致死量を超えており、所内の医務室へ運ばれるも、あなたは
すでに死亡していた。
こういった筋書きで実験の場へ移されます。
しかしもし断るなら現実になりますよ。つまり本当に死んで頂くしか」
川;゚ -゚)「脅迫する気か?! 弁護士に言うぞ」
('、`*川「そんな時間があるんですか? 繰り返しますけど、今夜ですよ」
川#゚ -゚)「ふざけんな!!」
('、`*川「ふざけてるのはあなたの人生でしょう。
あなたが未来を奪ったのは誰だと思ってるんです?
川;゚ -゚)「……」
腰を上げかけて、体が凍り付く。
女はテーブルの上で指を組んだ。
感情のない冷たい瞳がクーを見据える。
きっと目の前の存在など一匹のモルモットくらいにしか感じていない。
その視線がちらりと手首の時計に落ちた。
('、`*川「で、どうするんですか?
結論は五分以内に出して下さい」
川 - )「ふざけんな……」
頭を抱えるクーに女は続けた。
もう一押し、というように。
('、`*川「あなたが自分の人生を変えたいと言うのなら、恐らくこれが最初で
最期のチャンスですよ」