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 プールの底から顔を上げてそっと様子を伺うと、すぐ先に更衣室へ続く

入口が見えた。

あそこから正面出入り口に行ける筈だ。


川 ゚ -゚)(モンスターはいないな。良し)


 周囲の安全を確かめてプールの淵から這い上がる。

出入り口には網状のシャッターが下りており、その一番下の部分は床に

打ち込まれた頑丈な杭とチェーンで繋がっていた。

チェーンには錠が二つ付いている。


川 ゚ -゚)(ここで鍵か)


鍵を突っ込んで回す。

錠前を二つとも外してシャッターを持ち上げると、クーはそこをくぐった。

 奥は二手に分かれており、それぞれ男子更衣室と女子更衣室へ続いている。

クーは女子更衣室を選んで通り抜けた。


川 ゚ -゚)(空気の匂いが変わった……)


 廃墟全体に満ちていた腐った水の臭いが薄まり、奥から流れてくる新鮮で

荒涼とした風が鼻をくすぐる。

外に通じているに違いない。

自然と足が早まった。

やっとこの悪夢も終わりだ……やっと……

 モギリの改札を飛び越えてロビーに入ろうとした時、異変に気付いた。

誰かの声がする。


「……コラプサーを……」

「そいつ…………外に……出……な……」

「……コラプサー……使え……」

川 ゚ -゚)(ん!? 誰だ?)


数人の男の警告と恐怖、困惑と驚愕が入り混じった声が飛び交っている。

さんざん聞いたモンスターの唸り声ではなく、間違いなく正気の人間の声だった。


川;゚ -゚)(まさか時間切れか? わたしを外に出すまいと待ち構えて……)


しかし窓の外に見える光景はまだ夜の闇に塗り潰されている。

まだ夜明けではない筈だ。

何が起こっているんだ?

 進退窮まったクーは銃を握り締めて立ち竦んだ。


川;゚ -゚)(どうする……どうする?!)


しばらく耳を済ませていると何か様子がおかしい事に気付いた。

彼らは誰かといさかいを起こしているらしい。

さかんに怒鳴り声が聞こえるし、時々ほんのかすかだが銃声も聞こえた。

クーの持っているのと同じサイレンサーを通した銃声だ。

 そっとロビーに出ると、窓辺に近づいて様子をうかがう。


川 ゚ -゚)(あいつらは?)


町を歩いていそうなごくごく普通の格好をした男たちが、駐車場を

走り回っている。

ただし腕には特大のサイレンサーを装着したマシンガンを抱えていた。


(;・∀・)「コラプサーが効かねえぞ?!」


ひどく切羽詰まった言い方だ。

彼らの様子からして、どうやらその単語は銃弾のことを指しているらしい。

     コ ラ プ サー
川 ゚ -゚)(破壊因子……?)

(;゚∋゚)「チクショー、何かのアクシデントで抗体を持ちやがったんだ。

     応援を要請しねえと、本部に連絡しろ!」

(,,゚Д゚)「銃はダメだ、ランチャーを……」


 車のトランクを開けようとした男の眼の前に、何かが落ちてきた。

巨漢などというレベルではない大きさの何かが。


(,,゚Д゚)


呆然としている彼に“それ”が腕を一振りすると、男の上半身は

ソーセージみたいに簡単に千切れた。

血と臓物をまき散らしながらクーの方へ飛んでくる。


川;゚ -゚)「ひっ!」


慌てて窓辺から身を引く。

肉塊は窓を突き破ってロビーに飛び込んでくると、床を数転した。

血を満杯にしたバケツを蹴っ飛ばしたみたいな光景。


(<●>q 。)「ああああああああああああ――――!!!!」


 聞き覚えのある、悲鳴じみた咆哮が空気を震わせる。


川;゚ -゚)(あいつは……!!)


前に見た時とは形を変え、はるかに大きく膨れ上がっている。

肉と骨の膨張率が違うのか、腫瘍の塊のような肉体のあちこちから

白い骨が突き出していた。

すべて歪み、ねじくれた、気まぐれな悪魔がデザインしたような姿をしている。

 

 

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