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(*゚-゚)「何とも言えないな」
川 ゚ -゚)「?」
(*゚-゚)「あなたのことは殺したいほど憎んでた。
でも死んでほしくもなかったんです。
少なくともあなたが死ぬことがわたしの救済じゃない」
しぃは目を伏せた。
(*゚-゚)「わたしがあの日……あなたの運転する車に轢かれた日ですけど、
あの広場にいた理由は、死ぬためだったんです」
川 ゚ -゚)「!」
(*゚-゚)「具体的な自殺方法を考えてたわけじゃなくて、ただあそこに行けば
何か思い浮かぶかもって……」
川 ゚ -゚)「何故……?」
(*゚-゚)「取り柄のないわたしの唯一の特技がピアノだったんです。
でもそれすらもコンクールにことごとく落ちて、自信を失っていて……
だからわたしは、死ぬほど憎んでるにも関わらず、頭のどこかであなたを
責め切れないんです。
だってわたし……わたしは……あなたが来なければ自殺していて……
あなたがある意味、それを救ってくれたから……」
しばらく沈黙が落ちる。
クーは今初めて、自分の中にある彼女への憎悪に気付いた。
相手がそうであるように、クーもまたしぃのことを憎んでいたのだ。
それが身勝手な理由だとわかっていても。
しかしその感情がゆるやかに溶けて行くのを感じる。
川 - )(わたしは……わたしは何を勘違いしてたんだ?!
この子を憎んでたのか?
あの日あの場所にいたってだけのことで?)
(*゚-゚)「ひどい目に遭ったことは確かだけど、わたしはようやく吹っ切れた。
死ぬなんて下らないって。結局のところ、何の解決にもならないもの」
川 ゚ -゚)「……」
クーは眼を閉じ、額を柵に当てた。
川 - )「悪かった……悪かったよ」
(*゚-゚)「だから、あなたも死なないで下さい」
川 ゚ -゚)
(*゚-゚)「生きて後悔し続けて下さい。死ぬことはわたしが許しません」
決然とした口調だった。
クーは頷き、柵から離れた。
(*゚ー゚)「そろそろ行って下さい。もうすぐ姉が昼食に呼びに来る筈ですから」
川 ゚ -゚)「ああ。じゃあ、……元気で」
(*゚ー゚)「あなたも」
家の奥で誰かがしぃを呼んでいる。
クーは足早にその場を離れた。
川 ゚ -゚)(いい子だな……)
後悔するかも知れないと思ったけど、やっぱり彼女に会いに行って良かった。
今ようやく、心のすべての痛みが自分の一部になった気がする。
これから新たな痛みを負ってもきっと生きて行ける。
川 ゚ -゚)(おっと、もうこんな時間か!)
社会人学校の面接が始まってしまう。
あの女が寄越した戸籍の人物もクーに負けず劣らずひどい学歴の持ち主だった。
だけどまあ、自分とギャップがない分、その方がいいか。
学校にちゃんと行って、何かいい仕事を見つけよう。
今度こそきっと生きていける。
きっと。
[エンディングD]
おしまい